安倍政権の経済政策「アベノミクス」を反映してか、政府が発表する経済指標の好転が目立っている。内閣府が5月16日発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)は実質年率換算で3.5%増と2期連続のプラス成長になり、20日の5月の月例経済報告は景気の基調判断を「緩やかに持ち直している」と、2カ月ぶりに上方修正し、「一部に弱さが残る」との表現を削除した。
景気回復は企業決算や株価の上昇からも裏付けられるが、サラリーマンの実感は今ひとつ。ところが牛丼の売れ行きも景気回復を裏付けているというから、サラリーマンも驚きだ。
鉱工業生産指数に約半年遅れで連動
店舗数で国内最大の牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)の小川賢太郎会長兼社長は2013年3月期の連結決算発表で、「牛丼はこの3月、4月で底を打ち、(アベノミクスで)総じてよい影響が出ている」と述べ、売上高の伸びに期待を示した。小川社長によると、すき家の既存店売上高は、経済産業省が発表する鉱工業生産指数に約半年遅れで連動し、回復する傾向があるという。
経産省によると、鉱工業生産指数の「生産」は2012年9月の86.5(2005年=100)が直近の底となっている。これに対して、すき家の既存店売上高は、2013年2月が前年比89.9%、3月(速報)が88.5%で、底を打ったとみられている。まさに鉱工業生産指数に対して、ほぼ半年遅れの回復というわけだ。
同様に吉野家HDの既存店売上高が2012年12月に94.0%で底を打ち、その後は回復傾向にある。ゼンショーの小川社長の理論通りであれば、牛丼の売上高は底を打ち、今後は景気回復とともに売り上げ増が期待されることになり、2014年3月期はゼンショーHDが引き続き増収増益を予想、吉野家HDも前記の減収減益から増収増益への転換を見込んでいる。