予約時に車いすだと伝えていなかったのを理由に入店拒否されたと、乙武洋匡さんがイタリア料理店の名前をツイッターで公開したことが騒動となった問題は、当事者間のやりとりは終結したものの、車いすをめぐる議論が収まらない。
さらに、乙武さんが登壇予定の講演会について、「車いすで来場する場合は連絡ください」という説明書きがあることが判明し、ネットでは「乙武氏が入店拒否だと騒いだことと整合性がとれないのでは」「結局、批判が自分に戻ってくるブーメラン」などの批判的な声があがっている。
車いすだと事前連絡せずに、飲食店を利用
この騒動は2013年5月18日、乙武さんが訪れた東京・銀座のイタリア料理店について、「車いすだからと入店拒否された。『車いすなら、事前に言っておくのが常識だ』『ほかのお客様の迷惑になる』―こんな経験は初めてだ」とツイートしたのがきっかけだ。
店は雑居ビルの2階にある「隠れ家」的なレストランで、エレベーターがないため店に入るには階段を使う必要がある。乙武さんは従業員に「下まで降りてきて抱えてほしい」と頼んだが、「忙しいから無理」「これがうちのスタイルなんでね」と入店を拒否されたとしている。
「相手を小馬鹿にしたような態度」をとったという店主が「予約の時点で車いすって言っとくのが常識じゃないですか?」と話すのに対して、「じゃあ、それが本当に常識なのか、広く世に問うてみましょうよ」と乙武さんが腹を立て、事の顛末をツイッターに書き込んだという流れだ。
その際に、店名を公開したことから、イタリア料理店のサイトや店主ツイッターが炎上し、店側は謝罪した。一方、「店名公表はやりすぎでは」という意見があり、乙武さんもブログで謝罪した。
乙武さんのブログによると、
「自分で店を予約する際、あまりバリアフリー状況を下調べしたことがない。さらに、店舗に対して、こちらが車いすであることを伝えたことも記憶にない。それは、とくにポリシーがあってそうしているわけではなく、これまで困ったことがなかったのだ」
と車いすだと事前連絡せずに、これまで飲食店などを利用してきたらしい。