人間の幸せを決めるもっとも重要な要素とは何か――このある意味「究極的」な問いに、ハーバード大学の研究チームが75年の月日と累計20億円もの予算を費やして、ついに答えを出した。
IQから陰嚢の長さまで計測
1938年に始まったグラント・スタディは、268人のハーバード大学卒業生を卒業後75年にわたって追跡し、人類の繁栄に何がもっとも強く影響するかを特定するために、心理学、人類学、そして生理学上の特徴――性格からIQ、飲酒癖、家族関係、陰嚢の長さまでも含めた膨大な範囲を幅広く計測し続けた。
この研究から得られた知見の抜粋を、研究を30年以上にわたり指揮してきたハーバード・メディカルスクールのジョージ・ヴァイラント教授(精神医学)が2013年2月、「The Triumph of Experience」という本にまとめて出版した。
アメリカの雑誌・The Atlantic(電子版)がその本に書かれた要点をいくつかあげている。
それによると、政治信条は生活の満足になんの関係もないが、リベラルな人のほうが年老いてもセックスをしていることがわかった。保守的な男性は平均すると68歳で性的関係を持たなくなる一方で、ほとんどのリベラルな男性は80代まで活発な性生活を送っている。ヴァイラント教授は「泌尿器学者にもこれについて相談したのですが、なぜそうなるのかわかりませんでした」と書いている。
また、「アルコール依存症は、非常に破壊的な力をもつ病気である」。アルコール依存症は、グラント・スタディの被験者とその妻たちの間で、離婚の主な理由となっていた。また、神経症と抑うつ(アルコール依存症の原因と言うよりも、結果だという)とも強く結びついていた。そして―喫煙と同様に―早くから病気をしたり、死んだりすることの、単独ではもっとも大きな原因だった。あるレベルより上では、知性は関係なかった。
なお、IQが110~115の男性と、150より高い男性の間で、収入の上限に目立った差はなかった。