「アベノミクスは、その危うさを露呈してしまった」。株価の急落を受けて、こう指摘する動きが、一部で出てきている。
株価が下落すると、「アベノミクス失敗」「バブル崩壊」などと喜ぶ人たちがいる――。
経済時論を手がける上武大の田中秀臣教授は2013年5月23日、こんな内容のブログを書いてアップした。
「アベノミクスの本質は、お金をばらまくこと」
田中教授によると、その人たちとは、マスコミや野党、国債の取引をする業者、アベノミクスに反感を抱いている人々を指す。ブログでは、具体的な名前こそ挙げられていないが、そう推測できる人たちはいるようだ。
マスコミでは、朝日新聞はその1つかもしれない。
東証暴落と24日付朝刊1面トップで伝えるとともに、「アベノミクス危うさ露呈」という編集委員の解説記事も載せている。記事では、これまでの株価上昇は、日銀の人為的操作によるものだとしたうえで、永遠にお金をばらまけない以上は、危うさをはらんでいると指摘した。
つまり、アベノミクスの本質は、お金をばらまくことで、人々に景気よく思わせる心理学だと指摘した。その心理が崩れるともろく、日本経済は以前より酷くなりかねないという。そして、この機会に、アベノミクスの金融緩和偏重を修正すべきだと説いている。
毎日新聞も、同様な論調の社説をこの日載せている。「かけ声主導、期待頼みの足早な上げ相場には、やはり無理があった」として、金融緩和頼みを修正し、痛みの伴う構造改革などに本腰を入れるべきとした。
野党では、民主党の海江田万里代表が23日、「株高と円安に過度に依存したアベノミクスの危うさが表れている」などと記者団に語った。また、アベノミクスを批判してきた一部の識者も主張を強めている。