「取引所の開始時間を早めればいい」の声も…
猪瀬知事が指摘するように、日本の標準時は1886(明治19)年に定めて以来、変更していない。しかし、海外では政府の判断で標準時を変えた例がある。
ロシアのウラジオストクは2011年、夏期に実施されていたサマータイム(プラス1時間)を、通年の標準時(プラス2時間)に変更した。シドニーでは1971年にニューサウスエールズ州がサマータイムを実施した際、夏期を1時間早めている。
ちなみに、日本の標準時を2時間早めると、ロシアのウラジオストクなどと同じ時刻(英国のグリニッジ標準時から11時間早い時間)になり、その一方で現在、時差のない韓国や北朝鮮とは2時間の時差が生じることになる。
もちろん、標準時を変更するとなると国民生活への影響もあるだろう。日本人がこれまでなじんできた時間帯をあえて変更しなくても、「取引所の開始時間を早めればいい」との声は少なくない。
東証は、「(取引時間の変更は)法整備はいりませんが、システムの対応が必要なので証券会社などの理解を得る必要があります」という。東証では2011年11月21日に、午前の取引時間を30分延長し9時から11時30分とした。それでさえも「実施までに、かなりの時間を費やしました」と、なかなか難しそう。
仮に標準時を2時間前倒ししたとしても、「海外投資家への影響は、まだわかりません」と、メリットの有無は定かでない。