自身の業界には軽減税率要求する「虫のいい」新聞
皮肉にも、それは今の金利上昇でも、金融機関収益が過去最高になっているという事実で否定される。株高や投信販売手数料収入増加によって、債券の価格低下のマイナスが打ち消されてしまったのだ。
しかも、アベノミクスの第一の矢で、デフレ予想からインフレ予想に変わった。その結果、実質金利(=名目金利-予想インフレ率)は、1年前の0%程度から現在ではマイナス1.4%程度に下がっている。であれば、実体経済に好影響を与える。現に実体経済がよくなっているのに、まるで正反対のことを言っては説得力なしだ。
消費税増税については、新聞各紙は完全に財務省と同じ方向だ。その一方で、新聞は軽減税率を要求して、虫のいい話だ。新聞の軽減税率のために、2年ほど前には盛んにイギリスの消費税の報道をしていたが、増税後にイギリス景気が悪くなると、パタとイギリスの報道はなくなった。その上、財務省のリーク記事がならび、本稿のような本質的な批判はまずみられない。困ったものだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。