臨時職員で監視できるか
ある電機の部品下請けの町工場経営者は「いつも、値下げはあくまで部品納入業者側が『自主的に』申し出た形で行われ、そうしなければ仕事を切られる」と語る。
もちろん、政府は、違反取り締まりや監視強化にも努める。具体的には、公正取引委員会と中小企業庁で約600人を臨時採用し、大企業による優越的地位を使った価格転嫁拒否を強力に監視するとしている。
値引き要求などは、増税時以外の「平時」にもあり、これらは現行の「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」などで規制できる。公取委は2011年度に同法違反行為に対し、勧告18件、指導4326件を行っている。むろん、氷山の一角でしかないが、先の町工場の例のように、巧妙なやり方は簡単に見破れるものではなく、従来の取引実態をみながら判断することになり、「経験が必要な一種の"熟練の技"であり、臨時職員ではで無理」(公取委OB)といわれる。
「来年の増税時は相当の混乱が避けられない」(中小企業団体幹部)との懸念はなかなか払拭できないようだ。