「auのヤラカシ過ぎて謝罪 これはもう集団訴訟レベル」
「auとはとことん遣りあう覚悟を決めました。株買ってIR凸も辞さない」
KDDIが高速通信サービス「au 4G LTE」の広告で、アップルの「iPhone(アイフォーン)5」が対応するエリアを実際より広く表示したとして、景品表示法違反(有利誤認)で消費者庁から措置命令を受けた。
あくまで「誤記で、(2年縛りの)違約金の減免には応じない」と主張するが、ネットでは「無償解約できないのは詐欺」と怒りの声があがっている。
「2年縛り」の違約金9800円払わなければいけないのはおかしい
KDDIは「お客様に多大なるご迷惑をおかけしたお詫びと、このような事態を発生させた責任として」、田中孝司社長以下、関係責任者の報酬を3か月間10%から20%減らすとしたが、そんなものだけでは甘いというのが大方の見方だ。
弁護士の落合洋司氏はツイッターでこう指摘した。
「これは詐欺じゃないか。東京地検特捜部が動くべき。FBIでもよい」
消費者庁によると、KDDIは12年9月以降、ホームページや製品カタログで、アイフォーン5を含むLTE対応スマートフォンについて、下り 毎秒75Mbpsの通信速度のエリアが、「サービス開始時より全国主要都市をカバー」「2013年3月末に人口カバー率で96%になる」などと記載していた。
しかし、実際にはサービス開始当初「75Mbpsの速度で利用できる地域は極めて限られていた」(消費者庁)。また、13年3月末までのサー ビスエリア拡大の対象は、Android搭載スマートフォンが送受信できる周波数帯域に限られており、iPhone5については、全国のほとんどの地域において計画はなかった。
そのため、13年3月末時点でも、iPhone5で75MbpsのLTEサービスを利用できる地域は、実人口カバー率14パーセントの地域のみだった。
これを受けていまネットでもっとも問題となっているのは、いわゆる「2年縛り」契約の解除についてだ。基本料金が安くなるプランで、契約月から2年後の更新月以外で契約を変更/解除すると9800円の違約金が発生する。この契約を、「75Mbpsで人口カバー率96%」との広告を受けて結び、「3月末になっても75Mbpsで使える地域が14%しかない」のでキャリアを変更したい場合でも、違約金を支払わなければいけないのは、おかしいということだ。
消費者センター「相談に応じます」
au広報によると、「75Mbpsで96%という『誤記』をしたのは事実です」。しかし、これをもとに2年縛りの契約をした人など「『特別な対応を求めるお客さま』に、違約金の減免などの特別対応は今のところおこなっておりませんし、する予定もございません。現在使っておられる方には、iPhone5のエリアについても今後拡大していく予定ですので・・・」という。
なお、この期に及んでも機種別のパーセンテージを出すつもりはないようだ。
auのこうした対応について、ツイッターではこんな呼びかけも飛び出した。
「auのLTE詐欺について。消費者センターに相談すると、そこからauに勧告がいき、無償解約などの対応をしてくれるそうだ。当たり前だ減俸で済む問題じゃない」
ただ、東京消費生活総合センターによると、これは「一部に誤解があるようです」。
「ご相談をいただければ、契約する上で錯誤が無かったか、表示をどう受け止めて、それがどれだけ重要だったかなどを指摘して、契約の解除を求める交渉の仕方や書面の作り方などをアドバイスします。消費者が不利益にならないよう協力してまいりますので、お近くの消費相談センターにご相談ください」(東京消費相談センター)
こういった場合の有利誤認の表示による契約の解除は、強く主張できない状況で、基本的には、契約者個人と事業所との個別の交渉による対応になる。
ただ、相談件数や苦情が増えれば、行政が動いたり、弁護士が訴訟団を結成したりなど、さらなる展開が出てくる可能性はありそうだ。
消費相談センターは全国にあり、居住する自治体ごとに相談を受け付けているという。
なお、通信行政を所管していて、5月10日にKDDIに対して行政指導をおこなった総務省も、「電気通信消費者相談センター」で消費者からの電話相談を受け付けている。