くまモン、東大に出没したモン しかし早々に追い出される「ジャマになるので・・・」

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   「神出鬼没」で知られる熊本県のPRキャラクター・くまモンが東大にあらわれた。東大法学部名誉教授の蒲島郁夫熊本県知事が2013年5月22日、東大公共政策大学院の「公共政策セミナー」でおこなった講演に、「おとも」したのだ。公開セミナーなので、東大生だけでなく一般の人も参加した。

「くまモンがくるととても大変なのは、誰も私の言うことを聞かなくなっちゃうんですね」

「盟友」蒲島知事の講演にかけつけたくまモン
「盟友」蒲島知事の講演にかけつけたくまモン

   くまモンは、知事の講演終了後に「真打」として登場、得意の「くまモン体操」を披露した。音楽がかからないハプニングも起きたが、何度もとぼけたポーズをとったり、イッチニーサンの掛け声とともに準備運動したりして、会場を沸かせた。

   さらに、200人の東大生と一般客を前にしても、知事に頼まれた「おみやげ」を忘れたふりをするなど、「自由」ぶりを発揮。その後「おみやげ」の特製名刺を取り出し、来場者の一部に手渡ししてまわった。

   こうしたおどけぶりに、知事も「時間がないからはやくね」と苦笑い。

「くまモンがくるととても大変なのは、誰も私の言うことを聞かなくなっちゃうんですね。だから、ちょっとくまモン、外に出て、周りの人たちに名刺を配ってください」

   そして、このあとの知事の講演内容についての質疑応答の時間が迫ってくると、「質疑応答のお手伝いは?」(くまモンキャラバン隊)。「あのー質問するとジャマになるので…」(知事)。くまモンは登場から10分も経たずに追い出されることに。

   狭い通路を、付き添いの女性に「痩せて痩せて」と声をかけられ、体を小さく折りたたみながら進み、会場を後にした。

   なお、質疑応答では、東大生から「くまモン」に関する質問はほとんど出なかった。

「飽きられないため」に世界進出

大きな手で小さな名刺を差し出すくまモン
大きな手で小さな名刺を差し出すくまモン

   とはいえ、知事とくまモンはともに体をはって熊本県をPRしてきた「盟友」だ。知事は、吉本新喜劇にくまモンとスザンヌと出演して、盛大に「ズッコケ」ることになった際に、県庁職員をしている元教え子から「先生、それだけはやめてください」と言われたが、「どうせ転ぶんなら大きく転ぼうと思った」という。

   この日の「県民総幸福量の最大化に向けて」と題した講演の中でも、くまモンの活躍を政治経済学の視点から分析し、熊本の経済だけでなく、県民の安心、夢、プライドにも貢献していると強調した。

   最近では全国各地に出没し、「熊本のPRとなんの関係があるのか」「仕事選べ」とネットで突っ込まれることもあるくまモン。しかし、これは、「飽きられないための戦略」なのだという。九州にとどまらず大阪、東京、上海、香港、北京、フランス、ドイツと、どんどんフロンティアを拡張、ファンを増やし、メディアの注目を集めることによって、熊本、ひいては日本の知名度が上がるよう奮闘中なのだそうだ。

   知事はまた、老人向けに利用されている、話しかけると答えてくれるぬいぐるみ「おしゃべりくまモン」に話しかけて、「すごいくまモンです」「福祉にも役立つ」と絶賛。

   また、くまモンとのこれまでを振り返り、「嘘の記者会見を開いたこともあります」と明かした。最初に売り出したとき、「くまモンが失踪。探してください」とYouTubeで会見したときのことだ。「知事が嘘ついてもいいのかなと思ったんです。でもまあ嘘も方便かということでやりましたけど。行政の性格で、間違ってはいけないという気持ちと幸福量の最大化は矛盾することがあるんです。でも私は、幸福量の最大化をとるんです」と、自身の政治哲学に絡めて話していた。

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