講談社の青年マンガ雑誌「週刊モーニング」が、週刊コミック誌史上初の定期購読サービス、と銘打って始めた電子書籍版「Dモーニング」に一部で不満の声が上がっている。
「週刊モーニング」の発売は毎週木曜日で、本誌と同じマンガがスマホで読めるとことになっているが、大人気漫画の「バガボンド」「BILLY BAT」だけは配信されない。
月額500円で連載のほとんどが本誌発売と同時に読める
「Dモーニング」はiPhone、iPadユーザーに対応したサービスで、月額500円で一か月分の「週刊モーニング」のマンガが本誌発売と同時に読める。「週刊モーニング」は一冊330円だから、約三分の一の値段で新作が読めるとファンの間で歓迎ムードが広がっていた。
配信を始めたのは「週刊モーニング」2013年24号が発売された13年5月16日から。24号は全部で412ページほどだが、巻頭特集や広告ページなどは配信されないため、電子書籍版は300ページほどになる。そのかわり創刊号からオリジナルコンテンツとして「山下和美 名作読み切り劇場」の連載や、23日配信分からは、大ヒットしたかわぐちかいじ氏の「沈黙の艦隊」の復刻連載が始まるなど本誌との差別化もつけている。
有料会員登録後はいつでもバックナンバーが読め、配信されたデータが消えることがないことから、ちょっとしたコレクションとしての価値もある。
一方で電子書籍の有料会員が増えると本誌そのものが売れなくなるのではないのか、という心配もあるが、今回の狙いは別のところにあるようだ。「週刊モーニング」の島田英二郎編集長は
「手軽に漫画に触れてもらい、漫画のライトユーザー層を増やすこと」
と狙いを説明している。つまり、業界ではマンガ雑誌の売れ行き低迷が叫ばれているが、マンガに触れるきっかけ作って、それを本誌と単行本の売り上げ増へとつなげていこうという戦略なのだ。
ネットでは、
「連載の新作が直接手元に届く。そんな時代がとうとう来た」
「売店で並んで買う面倒もないし、通勤時間でもさっと読める」
などといった書き込みが出ているが、実はこうした好意的なものばかりではなく、「誰が買うか!」など怒っている人も少なからずいるのだ。
「作者の意向を尊重しました」と2作品除外理由を説明
「週刊モーニング」といえば、「社長 島耕作」「宇宙兄弟」「OL進化論」「GIANT KILLING」といった大ヒット連載を数多く抱えている。「Dモーニング」では、井上雄彦氏の「バガボンド」、浦沢直樹氏の「BILLY BAT」の2作品だけが配信されず、これらの新作は本誌を買わなければならない。島田編集長はこの2作品が配信されないことについて、
「まだデジタル化していない作品であり、また今後もデジタル化をするつもりはないという、作者の意向を尊重しました」
と打ち明けた。
ツイッターでは、
「バカボンド読めないなら意味ねーっじゃねえか」
「グラゼニがあるから気にならないが、今後も読めない人気作が出るとすれば、定期購読は悩む」
などといった声も挙がっている。