コンピューターも、銀行のATMも止まる
さらに、航空機と同じことが「地上」でも起こる可能性がある。東京湾周辺にある火力発電所。ガスタービン式の火力発電は、外からの空気を取り込んで燃料を燃やして発電する。つまり航空機と同じ原理で、取り込んだ空気に火山灰が混ざっているとタービン内に灰が入り込んで故障してしまうわけだ。
原子力発電がすべて止まっている現状で火力発電が停止すれば、エネルギーを供給する手段がほぼなくなる。
発電所が止まらないまでも、水分を含んだ火山灰は電気を通してしまうので、送電線に降灰すれば高圧線が漏電して停電を引き起こす。また、火山灰の重みで送電線が切れることもある。実際に、桜島の噴火ではわずかな降灰で停電が起こっている。
首都圏に大停電が起これば、企業のコンピューターや銀行のATMも止まる。火山灰がパソコンやテレビ、カメラなどの中にまで入り込んで、修理ができないような故障を引き起こす可能性もある。
高層ビルなどに備え付けられている携帯電話の中継システムも、機器に火山灰が付着すればシステムが故障して携帯電話やインターネットが使えなくなる恐れがある。
前出の防災科学技術研究所によると、「火山灰は大気中に数か月間滞留するので、健康に悪影響を及ぼします。火山灰が大量に降った場合、水源の汚濁や農作物への被害が生じることもあります」としている。