駐日米大使「戦争終結を早めるため」に非難
原爆投下をめぐっては、特に当事国である米国から、日本とは異なる見解が出るケースがこれまでにもあった。だが、あまりにも悲惨な被害を生み出しただけに、その使用を正当化するような意見に対しては国内から強い批判が飛び出す。
2008年8月、当時のシーファー駐日米大使が福岡県で行われた講演の席で、原爆投下について「多くの人命が失われるのを防ぐため、戦争終結を早めるために必要だった」と発言。後に被爆者団体から抗議文が寄せられた。その前年の2007年にも、元国務長官だったジョゼフ核不拡散問題担当特使(当時)が記者会見で、原爆が「戦争を早く終わらせた」ことで多くの日本人の命が救われたと主張したため、議論を呼んでいる。
長崎新聞は2012年12月9日付の記事で、原爆に関するアンケートを外国人50人に実施した結果を公表している。50人中38人が「投下すべきでなかった」と回答した半面、8人が「投下すべきだった」とした。8人中4人が米国人で、韓国人がひとりだった。回答者のうち17人が米国人で、アジア出身者は7人だったという。
政府高官の発言と、新聞記者の記事とでは性質が違い、単純に比較はできない。それでも原爆投下を正当化する意見は日本国内で強い反発が予想される。安倍政権の批判のためにあえて用いたロジックだろうが、相当踏み込んでいる印象で、記事を日本語で読んだ読者から共感を得られるかは微妙だ。