フェイスブックは失恋から立ち直るのを難しくすることが、アメリカ・カリフォルニア大学の研究者らの調査により明らかになった。
フェイスブックを活用すれば幸せなカップルになれるという調査結果がある一方で、調査の対象とした3人に1人が失恋後、ソーシャルネットワーク上の写真を消すことが出来ず、それがいやおうなく過去の記憶を思い起こさせることから、傷を長引かせているという。
「捨てられた」側は、「忘れたいのに消せない」
「多くの人は膨大なデジタルデータを保持しています。資産と言ってもいいはずですが、忘れたいことがあるときには、それがネガティブな役割を果たすことはほとんど知られていません」
カリフォルニア大学サンタクルーズ校の心理学者スティーブ・ホイットテーカー教授の論文によると、「デジタル資産」とは、パソコンをはじめタブレット、スマートフォン、カメラといったさまざまな端末に記録されている、写真やメッセージ、音楽、そしてビデオなどのことだ。
教授らは、こうしたデジタルのデータが、失恋の際に問題を引き起こすと指摘している。生活の大部分をデジタルに頼り、そこでは音楽や写真が常に過去の関係を思い出させるようになっているからだ。
それならば、「消してしまえばいい」という人もいるかもしれない。実際、教授がアンケートをおこなった19歳から34歳までの24人中、半数にあたる12人は確かにデータを完全に消去し、4人が選別した上で消去していた。
ところが、残りの8人は削除することができなかった。失恋した時、忘れたいと望んでいるのに、実際の消去となると非常にためらう人がいる。とりわけ、「捨てられた」側の人間にとってはこの傾向が顕著に見られるそうだ。
その上、消去できたとしても、消したことを後になって後悔する人もいた。
SNSでの交流が多いカップルほど、実際の生活でも幸せだが・・・
一般に、失恋するとプロフィールから過去の恋人をすぐさま削除したり、友達でなくなったりする人も多い。西イリノイ大学の研究チームによると、多くの人々が、「失恋」にまつわるネットでの一番「キツイ」こととして、「(交際)相手がいない」にステータスを変更することだとあげている。
一方で、同チームらは、フェイスブックでの交流が多いカップルほど、実際の生活でも幸せだという研究結果も明らかにしている。西イリノイ大学のクリストファー・カーペンター教授によると、パートナーと一緒に写った写真をアップし、お互いにタグをつけているユーザーらは、よりロマンチックな関係にあるという。ただ、逆もまた真なりで、SNSでの交流が少ないほど、親密ではなくなるそうだ。
この理由として、カーペンター教授は、人々はパートナーがフェイスブックで交流しているのを見たときに「嫉妬を感じる」ということを発見した。しかし、お互いにタグをつけあっている場合には、他人との交流に嫉妬を感じなかったという。
だからといって、タグをつければいいというものでもない。研究チームによると、そもそも、デジタルデータを削除するのは今日ではより難しくなっている。なぜならデジタル資産はさまざまな端末、アプリケーション、ウェブサービス、プラットフォームにまたがって記録されているからだ。
「(これらは)関係が良いときには、豊かなデジタル生活を促進しますが、ひとたび悪くなると、システム上の問題で、複数のデジタルスペースから(資産を)取捨選択する必要が出てきます」
その上、フェイスブックだとより面倒なことになる。写真は、タグを外すことは出来ても、自分以外の人が投稿したものについては削除できないからだ。
「タグを外すのは時間を食いますし、精神的につかれます。人々はとくに写真などのデータに触れると、復縁を望みがちですから」