シャープ、提携先の拡大に活路
一方、経営再建中のシャープも過去最大となる5453億円(前期は3760億円)の最終赤字を計上する2013年3月期連結決算を、5月14日発表。あわせて、2015年度までの中期経営計画も公表した。
中期経営計画では、12年度下期(12年10月~13年3月期)に226億円の営業黒字を確保したこともあり、「足元では業績が上向いている」として15年度の連結売上高3兆円、最終利益800億円を目指すという。
主力の液晶パネル事業は、省エネ性能の高い「IGZO」(イグゾー)などの販売拡大で工場の稼働率を高めて収益を改善。15年度の売上高を1兆円以上に引き上げる。そのために、米アップルや韓国サムスン電子以外にも液晶パネルを供給する戦略的な提携相手を拡大する。
経営体制では、奥田隆司社長がわずか1年で取締役でない会長に退き、高橋興三副社長が社長に昇格。現在12人の取締役も9人に減らす。
そもそも、シャープの躓きは当初再建の柱に据えた台湾の鴻海精密工業との資本・業務提携の不調にある。経営陣の刷新も、その責任をとった形。結果的に、この1年間を資金繰りのためだけに棒に振ったのが「痛かった」が、それにより技術革新や新製品の投入へのスピード感を失ったことのほうがより痛手かもしれない。