RCEP多国間協議で主導権握り 中国けん制しようという日本の思惑

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   東アジアのほぼ全域をカバーする広域の自由貿易協定(FTA)である「東アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)」の締結に向けた多国間協議が2013年5月に始まった。日本は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加が注目を浴びたが、RCEPはTPPに参加していない中国やインドなども加わり、締結に至れば世界最大の自由貿易圏が誕生することとなる。

   ただ中国やインドなどは自国産業の保護を目指す姿勢が強いほか、市場経済が十分発達していない国も加わっており、いかに自由化の水準を高められるかが課題になる。

急速に発展する東アジア地域の成長力取り込み狙う

   RCEPの初会合は5月9~13日、ブルネイで開かれ、日本や韓国のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)、オーストラリア、ニュージーランドなど計16カ国が参加。「関税」や「投資」など各作業部会が開かれ、今後の交渉の進め方や交渉テーマなどについて議論した。9月には第2回目の会合がオーストラリアで開かれる予定で、2015年末までの妥結を目指している。

   日本は早ければ7月にもTPPの交渉に参加できる見通しになっているが、経済産業省などは「日本にとって、RCEPはTPPと同様に重要な意味をもつ」(幹部)と、RCEP交渉スタートを大いに歓迎している。国内市場が縮小する中、急速に発展する東アジア地域の成長力を取り込みたい日本として、RCEPにより各国の関税引き下げなどを実現し、輸出増加につなげたいのだ。

   ただ、日本にとってはそれ以上に、中国が参加することが重要だ。中国は世界第2位の経済大国となりながら、世界的な貿易ルールに十分組み込まれているとは言えない実態があるからだ。競争政策や知的財産保護問題で先進諸国との摩擦は強まっている。米国主導のTPPには中国は参加していないが、RCEPではその中国が各国統一の貿易ルール作りに参加しようというわけで、重要な試みといえる。

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