「この時間に戻ってきてください」と指示された
付き添いに対する扱いもケースバイケースだ。広報担当者によると、本人との関係性は家族でも友人でも「介助者」とみなす。乗り物に同乗する際、「1台につき4人乗れるのに対して同行者がそれより多かった場合、本人以外に3人までを介助者と認めることがあります」と話した。パレードの見物では、例えば車いす利用者用の見学場所が設けられているがスペースに限りがあるため、介助者は最小の人数にしてもらうよう要望するという。視覚や聴覚の不自由な人なども、本人の状態に合わせて柔軟に対応するのが基本方針だ。
東京都内に住む車いすの男性会社員はJ-CASTニュースの取材に対して、2013年1月に息子と東京ディズニーランドへ行った際のエピソードを語った。入園の際にカードを渡され、アトラクションで係員にこのカードを見せたという。そこで必要な書式に記入すると、「この時間に戻ってきてください」と指示を受けたそうだ。言わばアトラクション利用を「予約する」イメージ。「当日は混雑していましたが、おかげで園内を効率的に回れました」と話した。
米国のディズニーワールドは未体験だが、15年ほど前にロサンゼルスのユニバーサルスタジオ・ハリウッドを訪れた。「アトラクションには『障害者用通路』が設けられていて、行くとすぐに入れました」。列に並ぶ必要もなく、おかげで友人とふたりでほぼすべてのアトラクションを1日で「制覇」できたそうだ。
東京ディズニーランドでは、一部アトラクションで遊べなかったと男性は打ち明ける。入場の際、「地震発生時にひとりで外に出てこられるか」という条件があった。例えば地震でジェットコースターが緊急停止したら、そこから降りて自力で歩いて避難することができない。息子はまだ幼いので非常時に手助けしてもらうわけにもいかず、仕方なく諦めたという。一方、米国の遊園地では何ひとつ制限がなかった。安全第一か、利用者を楽しませるのを優先させるかは国や施設によって考え方が違い、対応も変わるのだろう。
体の不自由な人に対する優遇措置を悪用した米国の例について聞くと、男性は「モラルの問題ではないでしょうか」とひと言。善意による配慮を「インチキ」のために使う姑息さに、あきれた様子だった。