エネルギー・環境政策の整合性は?
だが、ネックはCO2だ。最新鋭の磯子でもLNG火発の1.8倍のCO2を出す。東電の入札分だけで日本の排出量全体が1%増えるとされ、業界全体で抑制するといっても、具体策の検討はこれから。
原発再稼働で石炭火発の新増設そのものが不必要になる可能性もある。石炭火発の新増設には数年の歳月と1000億円単位の建設費が必要。電力会社は原発の安全対策費用としても1000億円単位が必要になり、石炭に大型投資をする余裕がどこまであるか、不透明だ。
安倍晋三政権は民主党政権の「2020年に温室効果ガス25%削減」の目標は撤回したが、「2050年に80%削減」の旗は降ろさず、新目標の策定は10月になる見込み。他方、原発の安全基準がクリアできれば再稼働を認める方針である一方、将来の電源構成については「10年間でベストミックスを考える」(安倍首相)と先送りしている。エネルギー・環境政策の中長期の整合性をどう取るか、それを詰めずに"石炭火発解禁"が先行することに、「東電の入札(5月24日締め切り)に間に合わせるため」(霞が関筋)との声もある。