融資は伸びず、利ザヤも縮小するばかり
三菱UFJ、三井住友、みずほの2013年3月期の連結最終利益の合計は前期比11.2%増の2兆2072億円。株式相場の回復による株式等関係損益の改善や、国債売買益が利益に貢献したほか、海外での融資が好調を持続したことが要因だ。
海外融資は円安効果もあり、円換算の残高は43兆円と19%伸びた。低迷していた国内向けの融資も、2012年後半から増加傾向に転じている。
なにやら、いいことづくめのようだが、実態は深刻だ。そもそも、メガバンクの経営が安定しないのは、「本業」である企業融資が伸びないためだ。
三井住友の宮田孝一社長は「設備投資などが伸びている感じがない」と話すが、企業の資金需要が伸び悩んでいることに頭を痛めているのは、同社だけではない。
しかも、融資の「中身」にも問題がある。残念ながら、国内は貸出金利から預金などの調達金利を引いた、預貸金利ザヤは3社とも縮小が止まらず、一段と利益が出にくい体質になった。
企業融資の金利水準の目安となる短期金利は低水準のまま。一方、調達コストである預金金利はほぼ下限に達して、いま以上に下げられない状況にある。
みずほの佐藤康博社長は「海外は引き続き高い水準にある」と話すが、現状では3社とも、主力のはずの国内の企業融資の収益低迷を、相対的に利ザヤが大きい海外部門で補っているだけだ。