政府の支援・助成は基礎的研究開発に関心が薄い
また、BMWはオーストリアのグラーツ工科大学と共同で熱効率50%を目標に開発に着手している。こちらは水素をエンジン気筒内に直接噴射し、磁力を使ってノズルの弁を開閉するピエゾ噴射弁による直噴で08年には正味熱効率45%を達成したことが報告されている。
どちらも水素ステーションなどのインフラ整備が先進国を中心に進めば水素社会の旗手になるのだが、この世界標準確立に向けた開発競争において日本の立場はぜい弱だ。
水素社会の旗手となる可能性は秘めていても、しょせんエンジン車。日本の場合、政府の支援・助成はFCVなどの先端技術には厚いのだが、基礎的研究開発に対して関心が薄い。基礎的研究開発が立ち遅れているという指摘は、自動車エンジン燃焼の分野にも端的に表れている。