「現在は見直しの絶好の機会」
委員からは「実体経済や金融市場に株高などの前向きな動きが表れ始めた現在は見直しの絶好の機会」「従来は情報発信が必ずしも効果的でなかったことが政策効果を削いでいた」「必要な政策は全て決定したと市場に受け取られるよう、インパクトのある規模の政策とすることが重要」といった声が相次いだ。前総裁の政策を否定的にとらえる指摘が、新総裁のもとで遠慮なく出されたわけだ。
議論の結果として、金融政策を遂行するための金融市場の操作目標を、前総裁時代の「金利」から、日銀が世の中に直接供給する通貨の量を示す「マネタリーベース」に変更することを決定。具体的には委員の一人が「マーケットに対して最大限のインパクトを与える規模」として挙げた、「長期国債の保有残高を年間50兆円程度増やす」などの案を採用。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)といったリスクある金融商品も買い増す「量的・質的金融緩和」を進めることになった。銀行が国債のような安全資産から企業融資などに運用先を変更することを促し、経済を活性化させる狙いだ。