新型コロナウィルス世界的流行の恐れ 死亡率高く、治療薬もない危険な病気

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   SARSに似た症状を示す新型コロナウィルスについて、症例が急増した上、人から人への間で院内感染が起きている疑いが強まってきた。

   これまでに確認されていたカタール、ヨルダン、アラブ首長国連邦、イギリスに加え、サウジアラビアで13人の患者が出て、フランスでも初めて症例が確認された。

   専門家も2013年4月に中国で発生したH7N9型の新型インフルエンザより「脅威度が高いのではないか」と懸念を示している。

感染例30のうち18が死亡

   このNCoVと呼ばれるSARS(重症急性呼吸器症候群)と同属の新型コロナウィルスは、2012年春頃に中東で発生。患者に共通する症状は、急性の重症な呼吸器症状で、発熱、せき、息切れや呼吸困難を伴う。ほとんどの場合に肺炎を起こし、一部の症例では腎不全や死亡をきたした。

   2013年5月10日現在までに31の症例が確認され、18の死亡例が出ている。感染者の年齢は20代から90代まで幅広く、サウジアラビアの現地報道では子どもが感染し死亡した疑いがあると伝えられている。

   この新型ウィルスについて、感染症に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は「中国のH7N9型以上に脅威度が高いのでは」と懸念を示す。H7N9型はタミフルが有効だとされるが、新型コロナウィルスは「治療薬がない」上、一部の国からの情報があいまいで、全容がつかみにくいからだ。

   最近になって症例が急増したのは、サウジアラビアが2013年5月8日までに13人分(うち7人が死亡)を、WHOなどへまとめて報告したからだ。4月14日から末日にかけて確認されていたという。その上、この症例は一部で、まだ患者はいるとの現地報道も出ている。

感染は中東に留まらず・・・フランスで「院内感染の恐れ」

   感染は中東にとどまらない。ほとんど機を同じくして5月8日、フランス北部、ベルギーと隣接するノール県リールの病院でも、65歳男性の感染が確認された。男性には4月中旬にアラブ首長国連邦(UAE)への渡航歴があった。さらに9日になって、このフランスの患者が最初に入院していた同県ヴァランシエンヌの病院で隣室だった50歳の男性と、35才の医師に同様の症状が出たと地元紙の報道が出た。この2人は現在、リールとトゥルコワンの病院で治療中という。こうしたことを受けて、ルモンド(電子版)が「院内感染の恐れ」と見出しを打つなど、フランスのメディアは騒然となっている。

   このフランスの状況を、勝田教授は2003年中旬に中国でSARSが拡大した状況と似ていると指摘する。

   「ウィルスの性質として、中国で発生したH7N9型の鳥インフルエンザより、罹りやすいのかな、と思うんです。1人の感染者が近くのたくさんの元気な人に移してしまうことを『スーパースプレッダー』と言うんです。2003年のSARSの場合は、香港の60代の医師とモンゴル系のキャビンアテンダントがそれにあたり、感染が拡大しました。この(フランスの)65歳男性がそれに相当するのか否か、非常に気になるところです」

「H7N9以上に脅威度が高いのでは」

   新型ウィルスのヒトからヒトへの感染は、WHOの文書によると、イギリスでの父子感染により、家族間などの濃厚な接触によって起こりうることは確認されている。

   人から人への感染の指標として、もう一段上のステージの院内感染については、まだはっきりとは認められていないが、状況証拠は出揃いつつあるようにも見える。

   こうした状況下で、日本にも、感染者が入ってくる可能性は十分にある。どう備えればいいのか。

「(政府は)すでに準備を進めていると思いますが、鳥インフルエンザに行っているのと同様に指定感染症、検疫感染症とするのを急ぐことですね」(勝田教授)

   ただ、中東から日本への直行便はエミレーツ航空など一部を除いて少なく、大抵ヨーロッパの都市を経由しての入国になるため検疫には困難を伴うことが予想されるという。

   最終的には、個人個人が「どこで感染が起こっているのか」を確認し、万が一症状が出たときに備え、自分を含め周囲の渡航暦について意識する必要があるということだ。

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