感染は中東に留まらず・・・フランスで「院内感染の恐れ」
感染は中東にとどまらない。ほとんど機を同じくして5月8日、フランス北部、ベルギーと隣接するノール県リールの病院でも、65歳男性の感染が確認された。男性には4月中旬にアラブ首長国連邦(UAE)への渡航歴があった。さらに9日になって、このフランスの患者が最初に入院していた同県ヴァランシエンヌの病院で隣室だった50歳の男性と、35才の医師に同様の症状が出たと地元紙の報道が出た。この2人は現在、リールとトゥルコワンの病院で治療中という。こうしたことを受けて、ルモンド(電子版)が「院内感染の恐れ」と見出しを打つなど、フランスのメディアは騒然となっている。
このフランスの状況を、勝田教授は2003年中旬に中国でSARSが拡大した状況と似ていると指摘する。
「ウィルスの性質として、中国で発生したH7N9型の鳥インフルエンザより、罹りやすいのかな、と思うんです。1人の感染者が近くのたくさんの元気な人に移してしまうことを『スーパースプレッダー』と言うんです。2003年のSARSの場合は、香港の60代の医師とモンゴル系のキャビンアテンダントがそれにあたり、感染が拡大しました。この(フランスの)65歳男性がそれに相当するのか否か、非常に気になるところです」