和歌山県警科捜研主任研究員が書類捏造 毒物カレー事件捜査に波及する可能性ないのか

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覚醒剤取締法違反などの19事件で同様手口の不正があった?

   能阿弥被告は1985年から科捜研に勤務しており、化学分野の鑑定が専門。書類送検前の12年8月の報道を見ると

「捜査関係者によると、研究員が関わった1998年の毒物カレー事件では捏造はなかった。引き続き過去の事件にさかのぼって捜査を続ける」(共同通信)
「県警は調査の結果、同事件に関する不正はなかったと結論付けた」(読売新聞)

と、カレー事件での捏造行為は一応否定されている形だ。ただ、研究員がカレー事件で何に関わったのははっきりしないうえ、書類送検直後の12月18日の読売新聞の記事では、

「県警は公訴時効が過ぎており、立件は見送ったが、1998年から2003年に、覚醒剤取締法違反などの19事件で同様手口の不正があったと明らかにした」
「資料が残っていないため、不正の有無がわからない鑑定もあったという」

と、かなりの余罪がある模様だ。

   カレー事件の裁判では、林死刑囚の自宅から見つかった、微量のヒ素が付着したプラスチック容器が重要な物証だとされた。だが、発見されたのが事件から2か月も後だったことなどから、弁護側は「捏造」だと主張してきた。それ以外の、ヒ素が付着した紙コップなどの物証についても、林死刑囚の犯行を裏付けるものではないとしていた。

   林死刑囚は、雑誌「創」10年8月号に掲載された手記の中で、

「動機もない、自白もない、犯行の目撃もない、私の指紋も何も証拠がない、捜査側の警察、検察官の作りだし、証言させた膨大なる状況証拠より、それも犯行、犯罪の証明があるわけではなく、『推認できる』として『犯人だ』、それも『死刑だ』とされてしまいました」

と死刑確定後も無実を主張し続けている。

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