野党は川口氏の滞在延長をなぜ許可しなかったのか
川口氏が面会した楊氏は、日本の尖閣国有化により中国で反日が激化した2012年当時に外相を務めていた。現在は外交担当の国務委員で、言わば副首相級の大物だ。5月9日放送の「やじうまテレビ」(テレビ朝日系)に出演した前高知県知事の橋本大二郎氏は、楊氏との話し合いについて「十分意味があった」と述べた。現状では中国の要人は、日本からの訪問者と1対1では会わない。今回も複数人を交えてだったようだが、川口氏が楊氏と議論できたのは、情報収集のうえで貴重な機会だったというのだ。
さらに橋本氏は、野党が川口氏の滞在延長を「認めてもよかったと思う」と話す。「国民にとって、今何が重要かを考える必要がある」との指摘だ。
朝日新聞論説委員の恵村順一郎氏は、5月8日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、川口氏が環境委員会を中止したのはよくないとした。国会開会中は常任委員長の海外出張を自粛するという申し合わせがあり、さらに1日延長で自ら委員長を務める委員会が取りやめとなったのは事実だからだ。
一方で、「議員外交の機会をみすみす逃すのはもったいない」とも話した。1回だけの会談で日中関係が好転するわけではないだろうが、対話のパイプをつないでおく点で意義があるという。野党側の対応については「議員外交のルールを整備するといった前向きな方向に、どうして進めないのか」と苦言を呈した。
ウォールストリートジャーナル電子版(日本語)では5月8日、川口氏解任の賛否を読者に投げかけた。9日夕方の時点で270件ほどのコメントが寄せられ、「解任反対」が多数派を占めた。「国益を第一に考えるべき」という意見が強く、野党側に対して川口氏の滞在延長申請をなぜ許可しなかったか理由を問う声も少なくない。ただ、委員会中止となった事実を踏まえて「解任規定に当てはまるなら処分やむなし」との主張も出た。また、楊氏との会談の内容を明らかにしてほしいとの要望も上がっていた。