高橋洋一の自民党ウォッチ
川口氏解任にみる国会の「時代錯誤」  海外渡航ルール、もっと柔軟に見直しを

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   自民党の川口順子参院環境委員長が解任された。国会の了承を得ないまま中国訪問の滞在期間を延長し、参院環境委員会が中止になったことを受けて、民主党など野党が「委員長の職責をみずから放棄した」ということで解任決議案を提出し、5月9日(2013年)の参院本会議で可決された。

   野党は川口氏が渡航許可のルールを無視したことを主張し、自民党は、滞在の延長は中国政府の要人と会談するためで国益にかなっており野党が延長を認めなかったことが問題としている。

国会議員に「居眠り」が連発する理由

   それぞれが渡航ルールを前提としており、その運用について見解の差がある。さらに、その見解の差の背景には、国益の認識の違いがある。

   まず、渡航ルールは「国会開会中における常任委員長及び特別委員長の海外渡航に関する申し合わせ」といい、参議院において委員長は原則として(国際会議出席を除き)国会会期中の外遊を許されていないが、議院運営委員会理事会の決定によって例外的に認められている。今回は、その例外措置との位置づけだ。

   そもそも、この渡航ルールが世界標準ではない。日本の国会運営は、欧米諸国と異なり、首相や閣僚のみならず、国会議員も国会に拘束しすぎる。このため、答弁の必要のない閣僚や、質問をする機会のない国会議員は、質疑中居眠りの連発だ。誰でも関心のない話を聞いているのは苦痛でしかないので、居眠りをこらえるためか、質問しない国会議員はヤジに徹底する。適度なヤジは議論を活発化させる「議場の花」であるが、質疑の妨害になるものも最近は目立っている。こうした光景はとても子供に見せられたものでない。

   欧米の国会では、質問する国会議員と答弁する閣僚、官僚の間で議論しており、無関心な関係者はいない。会議の様子を知りたければ、議事録やインターネット中継を見ていれば十分である。

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