短いのは、スキルも賃金も上がらないため?
平均勤続年数が短いIT企業は、離職率が高いということはないのか。
グリーの広報部では、離職率は公表していないとしながらも、決して大きいわけではないと強調した。勤続年数が短いのは、ここ1、2年で大量採用したからだというのだ。確かに、有価証券報告書を見ると、従業員1356人のうち、半分以上の843人がこの1年で増やした分だ。
増やした理由については、「ゲームなどのタイトル数が増えたり、企業買収したりして事業が拡大したため」としている。
同じく年数が短いリブセンスでは、設立が7年前と日が浅く、事業拡大に伴ってここ3、4年で毎年採用が多いからと広報担当者が説明した。離職者が多いことは否定している。
一方、平均勤続年数が長いガンホーでは、設立から15年も経っていることが挙げられると広報担当者が説明した。マッサージ施設やリフレッシュルームを作るなど労働環境も整えているという。DeNAがグリーより年数が長いのは、設立の時期が早かったこともあるとみられる。広報担当者は、「離職率はかなり低いと自負しています」と言う。
人事コンサルタントの城繁幸さんは、IT企業の平均勤続年数が総じて短いことについてこうみる。
「自動車などのハード系では、長く勤めてもらわなければ困ると言います。それで、年功で賃金を上げたり、自己都合で止めれば退職金を減額したりするわけです。これに対し、IT企業は、長く勤めても従業員のスキルが上がるとは限らず、賃金もフラットな傾向のままです。ですから、長く勤めるメリットがお互いになく、必然的に勤続年数が短くなります。働く人は、スキルを磨いてコンサルタント転身を目指すなど、かなり覚悟してやらないと厳しいでしょうね」