3Dプリンターで部品を「印刷」してプラスチック製の拳銃を組み立てられる無料ダウンロード用のファイルがネット上で公開された。この部品の設計データを日本からのダウンロードした数が、なんと6万件にものぼっていたという。
家庭用でも「出力可能」
「日本からのダウンロードも6万件を超えている。プロジェクトに興味を持った日本人からメールをもらったこともある」
「3Dプリンター銃」の開発責任者、コーディー・ウィルソン氏は日本経済新聞(電子版、2013年5月6日付)に対してこう話した。
この「3Dプリンター銃」は、インターネットを媒体にした武器の開発と情報提供を目指す非営利団体「Difense Distributed」が開発したもので、名前は「Liberator(解放者)」という。高性能の3DプリンターでABS樹脂を「プリント」してつくられたもので、撃針だけは別途金属を使用している。
サイトにアップされた動画では、38口径の弾丸が大きな銃声とともに確かに発射されていた。動画では1発しか確認できないが、その場に立ち会ったForbesの記者によると、数発発射することが可能だという。これまでは部品のデータのみが公開されていたが、2013年5月6日、銃1丁分のデータの公開が開始された。
もちろん、ダウンロードした人は興味本位がほとんどだろうが、日本でもデータから銃を「プリント」することは理論上は可能といえそうだ。
米ITサイトTechCrunch(テッククランチ)の記者、ジョーン・ビッグスは2013年5月7日付けの記事で、「3Dプリンター銃」のデータは「Makerbot」などの家庭用プリンタでも「出力可能」だとし、個人単位で製造の危険性があることを示唆している。この「Makerbot」は日本でも20万円ほどで販売されている。
法的な問題については、日本大学の板倉宏名誉教授(刑法)によるとデータを単にダウンロードするだけでは違法性は問われないという。一方で、本当に作れば「当然、銃刀法違反になる」。さらに、ツイッターではこんな指摘が出ている。
「3D銃の脅威って、販売履歴や、銃の犯罪履歴の掴めない密造銃が、一般レベルで大量生産可能って事じゃないの? 加えて、焼却処分可能」