新聞の「首相動静」欄には嘘がある――人気司会者のみのもんたさんがそんなことを口にした。
みのさんは2013年5月6日、「笑っていいとも!」(フジ系)に29年ぶりに出演した。「人間が好きじゃない」というタモリさんから、政治家を含む交際の広さを感心されたみのさんは、かつての首相との間にあったあるエピソードを明かした。
「会ってお話がしたい」と誘われて…
みのさんは時期や相手の名前を明らかにしなかったものの、あるとき「総理大臣と言われる方」から、「一度会ってお話がしたい」と連絡があったのだという。みのさんは自分の行きつけの店で、という条件でこれを承諾し、実際に会食をした。
翌日、みのさんが自分の名前が出ているだろう、と思いながら新聞各紙の首相動静欄を読んだところ、そこにはなぜかみのさんの名前はなく、「蓮舫(参院議員)と飲んだ」とのみ記されていた。「(私と会ったことを)消してるんです。失礼ですよ」とみのさんはふくれっつらを作り、
「あそこに出ている首相行動というのは絶対に信じられないなと思いました」
と述べた。
「名前言いたいぐらいですよ」としつつ、結局みのさんは問題の「総理大臣」が誰かを明らかにしなかったが、ネット上ではすでに特定が進んでおり、日は2012年3月2日、お相手は当時の野田佳彦前首相だろうと推測されている。この日の首相動静は、
「7時8分、東京・銀座の日本料理店『松山』。手塚補佐官、民主党の蓮舫参院議員と食事。10時5分、全員出る」(朝日新聞より)
とある。この件は当時すでに野田前首相とみのさんの「密会疑惑」として一部週刊誌などが報じた。蓮舫参院議員らと同席した食事だったと推測されているが、みのさんはそのあたりは詳しく話していない。なお当時の記事によれば、野田前首相は一升瓶を空にするなど、宴会はかなり盛り上がったようだ。
こういう「密会」はよくあること?
なおみのさんは「首相動静」は首相側から公式発表されているもの、と勘違いしていたが、実際には各新聞社の番記者たちがその一挙一動を追うことで書かれている。面会者や外出先などがほぼ分単位で記されているものの、今回のように首相側が隠そうとした場合にはどうしても限界があるようだ。
政治評論家の有馬晴海さんも、こうした表ざたにならない会食は、四六時中番記者に張り付かれている首相にもやはり存在すると話す。そしてこうした関係は野田前首相やみのさんに限った話でもなく、政治家とメディア全体で見られるという。
「メディア側としては政治家に実際に会うと、どうしても批判しにくくなるところがある。野田前首相も『矛先を緩めてくれ』とまでいうつもりはなかったと思うが、自分もがんばっていると伝えたかったのでは」
もっとも首相は国民の代表として、特定のメディアに取材機会を偏らせないことが原則となっており、そんな中でみのさん一人だけと会うことへの批判、あるいは「取り込もうとしている」などと憶測されることを避けたかった、というのが、「密会」という形をとった理由ではないか、とのことだった。