婚活事業やめた自治体「効果に限界があるのでは」
自治体による婚活支援は、今ではかなり一般的になってきた。だが、すべて順調に進んでいるわけではないようだ。
内閣府が2011年3月に発表した「結婚・家族形成に関する調査」には、自治体の結婚支援の取り組みに関する調査結果が盛り込まれている。回答した市区町村1698団体のうち、結婚支援事業を実施しているのは552団体に上る一方、事業を取りやめたのも283団体に達した。その理由として「効果に限界があるのではないかと考えている」が最も多く、127団体となった。これに「予算確保が困難」「事業開始当初と比べてニーズが減少」が続く。
イベントに参加しても、単発で終わってしまうケースもあるようだ。2013年3月6日付の読売新聞電子版では、自治体による「男女の出会いイベント」で、成立したカップルがあった一方、「1日だけでは難しい」「今後につながるというより、その場だけの出会いと感じる」との声が聞かれたと紹介している。
国民生活センターは「ウェブ版国民生活」2013年2月号で、自治体の婚活事業を特集した。この中で広島国際大学心理科学部講師の大瀧友織氏は、兵庫県が実施した男女の出会いを支援する2つのプログラムを例に挙げた。ほぼ同じ内容ながら成立したカップルの数に違いが出た理由として、一方のプログラムが最初の段階で「結婚」をクローズアップし過ぎているとの意見を紹介。最初から「結婚」を前面に出し過ぎると逆効果になる可能性があると指摘した。自治体の婚活支援では、逆に結婚そのものを押し出すのではなく、「自然な出会い」と認識されるような場の方が望ましいというのだ。
今回の糸魚川市のケースは、自治体が主導的に結婚を促すというよりは、自らは「黒子」となって肝心の婚活の中身は丸ごとプロの事業者に委託した。新たな試みは、結婚を真剣に考える独身男女の背中を押すだろうか。