プラチナチケットになった「国民栄誉ショー」 松井の巨人監督就任への「みそぎ」は済んだか?

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   長嶋茂雄、松井秀喜両氏の国民栄誉賞の授与が2013年5月5日、東京ドームで行われたのだが、両者を称える一方、政治とビジネスに利用されたと見た国民も多かったのではないか。「国民栄誉ショー」になってしまった感じである。

チケットは10万円にまで高騰

   打者に長嶋、投手に松井と主役が立ち、捕手となったのは原辰徳巨人監督。そして主審を務めたのは安倍晋三首相だった。松井の投球は内角高めのボール球となり、長嶋がそれを空振り。長嶋が本気で打ちにいったとあって原は大慌てで逃げながら捕球した。

   試合を控えた原を除く3人はいずれもユニホームの上着を着た。背番号付きである。長嶋の3、松井の55は現役選手時代のもの。安倍首相は96。「96代首相だから」と首相は説明したが、いま賛否の論議を呼んでいる憲法改正にまつわる96条の改正をPRしたのではないか、との憶測も出たほど意味深な番号だった。

   この日、4万6千人を超えるファンがスタンドを埋めた。超満員だった。授与式の前には松井の引退式が行われており、まさに巨人のためのイベントと見えた。

   かつて国民栄誉賞の打診を受けて断った元プロ野球選手はこう言っている。「野球の国民栄誉賞は、なぜかセ・リーグの選手で、しかも巨人選手が3人もいる。パ・リーグでプレーした選手の中にはすごい人がいるのに」と。確かに最初の受賞者・王貞治氏と長嶋、松井はいずれも巨人OB。もう一人の衣笠祥雄氏はセの広島だ。

   入場券はプラチナチケットとなった。チケットショップでは、通常ペア2万円ほどが10万円にはね上がったという。年間指定席券が格安ショップに持ち込まれ、ちょっとした小遣い稼ぎとなった。「師弟受賞」はビジネスとしても上々の成果を上げたようだ。

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