石巻市に水産業復興特区 カキ養殖業者と卸大手が組む 漁協は反発

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全国紙は歓迎するが地元紙は慎重

   特区に反発しているのが漁協だ。全国漁業協同組合連合会は「全国に導入されないよう申し入れる」とのコメントを出し、全国への波及阻止に躍起だ。

   漁協は組合員から魚介類を引き取り、仲買人に売る。組合員が払う販売手数料が漁協の収益の多くを占めるため、漁業権を失うのは死活問題。これまで、法が定める優先順位に基づき漁業権を事実上「独占」することで組合員を管理下に置き、生産調整や漁場管理を行ってきたからで、今回の特区について、具体的に①養殖いかだ数の上限などが決められなくなり、秩序を維持できない②密殖防止などのための漁場の一元管理ができない――などとして、「浜を分断・混乱させ復興の妨げになる」と批判している。

   行政でも、特区推進の宮城県に対し、岩手県は漁協主体の復興を模索。震災で一段と深刻化した後継者不足に苦しむ中、収入増加策として、漁師と養殖業者がタッグを組んで従来は食用にならなかったツブ貝のむき身などの販売(大船渡)、漁協直営のワカメ養殖(大槌町)などの取り組みが始まっており、収入の安定化による担い手確保に努めている。

   ただ、どちらの県の取り組みがいいのか、単純に答えは出ない。新聞の社説の論調も、全国紙は「桃浦の挑戦を評価する」(4月20日「毎日」)、「水産特区 改革への起爆剤に」(4月25日「朝日」)と特区に好意的だが、地元「河北新報」は「合意得られぬ『発車』は残念」(4月11日)と、慎重な対応を求めている。

   ジリ貧にどう歯止めをかけ、地域経済を元気にするか。農業再生とも共通する重い課題を背負って、水産特区の挑戦が始まる。

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