「子どもの頃に、よく飲んでいた消費者が戻ってきた」
こうした「空前」のトマトブームを背景に、飲料大手のカゴメの2013年3月期決算は、当期純利益が前期比53.7%増の64億円になり、1899年の創業以来の最高益となった。売上高は9.0%増の1962億円で、増収増益だった。
なかでも、トマトジュースは全国で一時品薄になるほどの人気を集め、売上高は通期で5割増。相乗効果で、野菜飲料全体も過去最高の960億円を記録した。
同社によると、トマトジュースの売り上げのピークは1970年代後半。80年代に入ると野菜ジュースを含め、さまざま飲料が登場して需要が縮小した。2011年はピーク時の4割まで落ち込み、ここ数年は需要層の多くをヘビーユーザーが占めていた。
ブームに乗って「トマトフェア」などの露出機会を増やしたことで、「子どもの頃に、よく飲んでいたという消費者が戻ってきた」と、カゴメはいう。昔からの、ノーマルタイプのトマトジュースが一番売れているそうだ。
トマトケチャップはメニューを提案することで、12年秋以降に販売量を伸ばし、「基本のトマトソース」は2013年3月に、使いやすく環境負荷も低い紙容器の商品を投入した。
市場が縮小しているギフト事業には、スイーツの「トマトの焼き菓子 トマッティーニ」を展開。これが当たりギフト事業の売上高は前期比4.0%増の79億円。1998年から参入している生鮮野菜事業では「生鮮トマト」を生産、販売しているが、その売上高も前期比17.0%増の89億円と、いずれも過去最高となった。