TPP交渉参加をめぐり、官民の農業対策相次ぐ 農家の所得倍増、コメ生産コスト4割削減など・・・新味乏しい

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   日本が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉へ参加することが正式に認められたことで、焦点の農業対策をめぐる官民の議論が白熱している。政府の産業競争力会議で農業の工業化などの主張が出され、農村票を支持基盤とする自民党は今夏の参院選に向け、2020年までに農家の所得を倍増させる「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」をまとめた。ただ、民主党政権時代も含めて長らく議論されてきた中身と大きく変わるものではなく、農業再生の難しさを再認識させる皮肉な状況になっている。

農民票獲得めざし、具体的な対策が必要

   日本がTPP交渉に参加した場合、関税撤廃で最も大きな影響が懸念されるのが農業分野だ。全国農業協同組合中央会(JA全中)は「TPPが国民生活に与える影響について、多くの国民の懸念や不安は払拭されていない」(万歳章会長)と交渉参加に反対してきた。政府・自民党は農家を安心させ、参院選に向けて農業票を取り込むためにも、具体的な「対策」を示す必要がある。安倍政権はTPP対策として「攻めの農林水産業」を掲げており、農水産物の輸出拡大で国内農業の反転を目指している。

   安倍政権が成長戦略づくりの要と位置づける産業競争力会議では、民間議員を務めるローソン社長CEOの新浪剛史氏が「オランダなどの先進国はイノベーションを導入しながら農業の工業化を進め、輸出産業と位置づけている。オランダは農業貿易で最も黒字を計上している世界最強の農業国で、多いに学ぶべきだ」と主張。天候に左右されず、農薬を使わずに室内で安定的に野菜を栽培できる「植物工場」を普及させるほか、ベンチャー農業生産法人を創設し、高齢者の雇用も確保すべきだとのアイデアを披露した。

   オランダは農業生産の諸条件は不利なものの、輸出競争力をもつ野菜や花などの栽培地域を集約している。植物工場に代表される工業化や関連機関が連携することで、「フードバレー」と呼ばれる1500近い食品関連企業・研究機関が生まれ、「農業貿易で最も黒字を計上している世界最強の農業国」(新浪社長)という。

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