2極化する消費者? 「アベノミクス、全体に波及していない」
売れ行きが好調な高額商品だが、百貨店は冷ややかだ。売り上げをけん引しているのが、多くの高級品を取り揃えている都心店にとどまるからだ。
三越伊勢丹HDの2013年4月の売上高は、伊勢丹新宿本店が3月のリニューアル効果もあって8.7%増、三越日本橋本店が1.0%増、三越銀座店3.8%増だったが、郊外店が振るわず全体では3.0%増だった。
J・フロントリテイリング(大丸松坂屋、前年同期比4.8%増)や阪急阪神百貨店(同10.3%増)でも同様の傾向がみられ、また東京・日本橋店が同5.1%と好調だった高島屋も全体では0.5%減、そごう・西武は2.3%減だった。
高級品は輸入ブランドが少なくない。急激な円安の進展で、海外ブランドは4月中旬以降に相次いで10%程度値上げした。そのため、「値上げ前にブランド品を購入する動きが、売り上げを膨らませた側面もある」(三越伊勢丹HD)という。
高島屋も、「(消費者の)すそ野が広がっているわけではありません。都心店は堅調ですが、食品や衣料品、日用品などを中心に扱う郊外店は苦戦が続いています」と、慎重な姿勢を崩さない。
「アベノミクス効果が、全体に波及しているとはいえません」(三越伊勢丹HD)