民主党の長島昭久前防衛副大臣が2013年5月2日、社会保障政策についてツイートする中で「在日外国人2世3世に対する『日本人化』教育」という表現があった。
長島氏本人が何を意図していたか明らかではなかったが、戦前に進められた「皇民化教育」を連想させるとして批判が相次ぎ、後に「誠に不適切な表現」と謝罪した。
JALの機内無線LANサービスにはしゃぐ
長島氏は民主党の前原誠司元代表、自民党の塩崎恭久政調会長代理、小泉進次郎青年局局長らとともに2013年5月1日から6日の日程で英国を訪問している。経済展望や安全保障のあり方について議論する「日英21世紀委員会」に出席するのが目的だ。
問題の発言は、ロンドンに向かう途中でツイートされた。日本航空(JAL)は成田-ロンドン線などで機内無線LAN(Wifi)サービスを提供しており、これを利用したようだ。5月1日午後のツイートでは、
「空の上から初ツイート。只今シベリア上空です。出発前の控え室では、前原、塩崎、小泉代議士と今後の我が国の社会保障制度の在り方で盛り上がりました」
と、ややはしゃいだ様子だ。そして、
「今後の課題は、子育て支援と在宅での看取り、そして在日外国人2世3世に対する『日本人化』教育の仕組みづくりが鍵を握っているという点で合意」
と続けた。
この「日本人化」という単語が、日本語標準語の使用や国家神道崇拝の強制を通じて、地域の伝統文化を破壊したとして悪名高い「皇民化教育」を連想させるとして、
「即座に『創氏改名』の愚を思い出させられた」
「これはまさに、21世紀版の『同化政策』」
といった批判が次々に寄せられた。
「日本の文化や歴史や言語を知ってもらい、良いところを多いに学んでもらいたい」
長島氏は、米ジョンズ・ホプキンス大学で修士号(国際関係論)を取得している。移民の国でもある米国で教育を受けたにもかかわらず、文化の多様さへの配慮を欠いた発言が行われたとして失望する声もあった。
これらの批判を受け、長島氏は5月2日未明になって、ツイッターで、
「『日本人化教育』というのは、誠に不適切な表現でした。皆様にご不快な思いをさせてしまったことを衷心よりお詫びします」
と陳謝した。その上で、
「日本で生まれた子供達に、日本の文化や歴史や言語を知ってもらい、良いところを多いに学んでもらいたい。これを国として責任を持ってバックアップすべきというのが真意でした」
と釈明した。
その後も長島氏の情報発信に対する姿勢は旺盛なままで、およそ12時間後の5月2日午後には、細野豪志幹事長が集団的自衛権の行使を容認する考えを示したことを報じる記事に対して、
「こういう当たり前の発言を普通に報道していただくことが、最近はとくにありがたいな(笑)」
とツイート。歓迎姿勢を示した。