メガバンク、海外展開の強化急ぐ 欧州系の「出物」増も追い風に

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国内向けの融資増はまだ鈍い

   なお欧州債務危機やロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作問題の逆風下にある欧州系の金融機関は、体質強化に向けて中核的ではない事業の売却を進めている。欧州系では強い信用力を保つドイツ銀行も例外ではない。リーマン・ショックで受けた傷が浅かった日本のメガバンクは、こうした欧州系の「出物」の受け皿となっている面もある。実際、三井住友フィナンシャルグループなどが昨年、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドから航空機リース事業を約5500億円で買収した実績もある。

   日本のメガバンク側にとっては、足元で進む円安基調によって、買収価格が高まることは気になるが、依然として「欧州系で売却が予想される物件は結構あり、海外強化の好機」(メガバンク幹部)でもある。

   ただ、慎重に出物を待って選んでいるだけでは、必ずしも海外展開の強化につながらない可能性もある。「2013年3月期に3メガバンクの最終利益が計2兆円に達し7年ぶりに高水準」とは伝えられるものの、内実は株高、債券高という市場要因によるものが大半だ。「黒田日銀」の大胆な金融緩和を受けて期待される国内向けの融資増も、少なくとも足元で活発になっているわけではない。このため、日本から地理的に近く、今後の成長が見込めるアジアをどう強化するか、という古くて新しい課題に正面から向き合う必要もありそうだ。

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