思わず猪瀬氏の本音が出てしまった?
猪瀬直樹氏はフェイスブックで、ニューヨーク・タイムズ紙の記事について、「真意が正しく伝わっていない」と不満を述べた。そして、IOCの行動規範は理解しており、今後も尊重していくと言明している。
ところが、ニューヨーク・タイムズ紙の編集幹部は「取材に絶対の自信を持っています」と反論したと、日本のメディアにも報じられた。さらに、取材に同席した日本人記者がツイッターで、猪瀬氏が日本語でも同様な発言をしていたと暴露した。オフレコ要請はなく、発言を録音しており、猪瀬氏が用意した通訳の言葉をそのまま使ったと言っている。
猪瀬氏は2013年4月30日になって、一転して謝罪に回った。報道陣への説明で、表現不足で誤解を与えたとして、発言を訂正する事態になったのだ。
行動規範については、事前に知っていたようだ。3月の都議会で、「ネガティブキャンペーンはしちゃいけないことになっている」と答弁しているからだ。開催地決定を前に、なぜ不用意な発言をしたのか。しかし、報道陣に明かしたのは、「自分のどこがよいのかと説明するために、どうしても他都市と比較して答えてしまう」といった苦しい弁明だけだった。
猪瀬氏のツイッターを見ると、副知事時代から他都市への批判めいた発言をしている。12年8月11日には、「マドリードは欧州危機、イスタンプールはシリア内戦など不利な条件」などとつぶやいていた。猪瀬氏は、批判のつもりはなかったとの立場を変えていないが、思わず本音が出たのかもしれない。
ネット上では、「誘導質問にまんまとハマった感じだろう」「脇が甘いんだよ」といった厳しい意見が出ている。しかし、東京招致への影響については冷ややかで、「イスタンブールでやらせてやれ」などと突き放した声も出た。