EV戦略は「先を急ぎ過ぎた」のか?
ルノーに比べて、日産は好調だ。2012年3月期決算では純利益でトヨタを上回り、国内トップだったが、12年になっても9月に投入した新型のコンパクトカー「ノート」も販売台数を伸ばしている。12年度の新車販売台数は11万5530台で、前年度に比べて104.3%増と大きく伸び、年間ランキングの4位に入った。
とはいえ、「ノート」は低燃費ガソリン車だ。年間ランキングで5位に入った「セレナ」(前年比2.3%増、9万5869台)もハイブリッド車(HV)で、日産が力を入れている「ゼロ・エミッションカー」(電気自動車、EV)の「リーフ」ではない。
周知のように、年間ランキングの1位にはトヨタ自動車の「アクア」、2位には「プリウス」、3位にはホンダの「フィット」とHVが並ぶ。
トヨタやホンダなどがHVを強力に推進するなか、日産はHVを飛び越えて、EVを推しているものの、1回の充電での航続距離が短いことや充電器(スタンド)の設置場所が少ないこと、販売価格も高いことから、なかなか「火がつかない」。
日産のEV「リーフ」の販売台数は、2012年(暦年)で前年比22.0%増の2万6976台。10年12月の発売以来の累計販売台数は4万9117台になる。ただ、計画を大きく下回っていて、ゴーン社長もEV市場について「失望している」と漏らしたほど。EVに舵を切ったゴーン社長に、「先を急ぎ過ぎた」との見方もある。
日産は2013年4月19日から、国内で販売する「リーフ」の価格を改定し、一律約28万円値下げした。値下げでEV市場を広げる狙いだが、EVへの投資を回収できないと、ルノーの支援どころではないのかもしれない。