バッテリーのトラブルで運航停止が続いていたボーイング787型機の運航再開が決まったことを受け、全日空(ANA)は2013年4月28日、同社が営業飛行再開の前提としているバッテリーシステム改修後のテストフライトを初めて行った。
伊東信一郎会長は6月から定期便の運航を再開する方針を明らかにした上で、「状況に応じて、5月中の臨時便設定も検討したい」と前倒しの可能性にも言及した。
テストフライトは伊東会長やボーイング社民間航空機部門のレイ・コナー社長ら乗員・乗客31人を乗せて八丈島や紀伊半島上空を約2時間にわたって飛行。午前11時過ぎに羽田空港に到着した。
ボーイング社副社長「原因が何であれ、問題には対応できている」
テストフライト後に、ボーイング社とANAが別々に会見。ボーイング社のコナー氏は、
「ボーイング社17万人の従業員を代表し、このような事態に至り、色々議論しなければならなくなったことをお詫びしたい。日本の顧客(航空会社)、乗客をこのような状況においたことを心苦しく思う」
と陳謝したが、補償問題については、
「それぞれのお客様と議論しているところ。私がら申し上げられるのはここまで」
と述べるにとどまった。
根本原因が解明されないままの運航再開についての質問も相次いだ。マイク・シネット副社長は、
「不具合を起こした原因には確信がないが、その事故の後、実際に何が起こったかは解明しており、それに対する解決策を特定している。原因が何であれ、問題には対応できている」
と安全性に問題がないことを主張した。
テストフライト機長、子ども向けに「全部、悪いところは直しました。安全です」
ANAの伊東会長は、
「1便1便実績を積み重ねて、安全性を確認していきたい」
と述べ、テストフライトの丸井祐一機長は、分かりやすい説明を求められて、
「全部、悪いところは直しました。安全です」
と話した。
また、伊東会長は、今後の787の導入計画について、
「何ら変更する要素はない」
「こういうこと(運航停止)を想定した訳ではないが、非常に有意義なローンチ(世界で最初の導入)へのチャレンジだった」
などと述べ、経営への影響が限定的であることを強調した。
バッテリーの改修作業も報道陣に公開された。ANAでは5月27日に保有する17機の改修を完了する予定。