国土交通省がボーイング787型機の運航再開を認めたことを受け、全日空(ANA)は2013年4月26日夜、国土交通省で会見し、営業運航再開に向けた対応策を発表した。篠辺修社長は「夏までに解決の糸口が見えてきた」として、運航再開への期待を示した。
ANAは787を17機保有しており、運航再開の前提となるバッテリーの改修作業を4月22日から進めている。改修は国内6空港、国外1空港で行われており、5月27日には全機が完了する計画。
テストフライトには役員も乗る
ANAが挙げた対応策は、(1)改修後にテストフライトを行う(2)飛行再開後も、一定期間後にバッテリーのサンプリング調査を行う、など。トラブルの根本原因が解決されないままの運航再開だが、
「想定しうる、あらゆる原因を網羅した対策」(篠辺社長)
を行ったとして、運航の安全性は確保されていることを強調した。テストフライトには、可能な限り役員も同乗させ、改修状況はウェブサイトで随時公開する。
篠辺社長によると、具体的な運航再開の時期については
「改修状況や準備の状況を踏まえて、改めてご案内したい」
と述べるにとどまった。現在、5月のダイヤまで787の運用を外しており、運航再開の認可が遅れれば6月以降も787の欠航が検討されていた。この点について、篠辺社長は
「そこまでの手当がいらない可能性が、かなり出てきた」
と6月にも運航再開できることを示唆した。
ボーイング社との補償交渉は「落ち着いてから」
経営面の影響については、
「(多客期の)夏までに解決の糸口が見えてきたので、ダメージの範囲は限定的だっ た」
と述べ、ボーイング社への補償請求交渉については、
「具体的に実際の投入に至らないと、我々がどの程度要求すべきか定まらない。言ってみれば『落ち着いてから』」
として、運航再開後に本格化させたい考えだ。