参院選を3か月後に控え、タレント候補擁立をめぐって永田町が騒がしくなってきた。先手を打ったのが自民党で、2013年4月24日には、俳優の嶋大輔氏と元格闘家の佐竹雅昭氏を比例区から擁立する方針を固めたことが明らかになった。
このまま政治情勢に大きな変化がなければ、「12年の衆院選並みに自民党が大勝」との予測だが、「タレント作戦」でも自民が他党を大きくリードしている。
野党は擁立が遅れ気味
自民党は、この2人以外にも、モントリオールなど3つの五輪で金メダルを獲得した体操の塚原光男氏や、コメンテーターとしておなじみの若狭勝弁護士を擁立する方針を固めている。
野党は擁立が遅れ気味で、日本維新の会が元日本テレビアナウンサーの小倉淳氏の擁立に動いている程度だ。
取りざたされる名前の数だけでも、やはり自民党の勢いが際立っている。例えば女性自身が2人のタレントが自民党から出馬する見通しを報じている。名前を取りざたされたのは中西(旧姓・山本)モナ氏と眞鍋かをり氏。いずれも、テレビ番組のキャスターやコメンテーターを務めたことからくる「知性派」といったイメージを当て込んでいるとみられる。
ただ、2人とも出馬には否定的で、中西氏は4月23日のイベントで、「そういう話はまったくない」と否定し、眞鍋氏も2月23日の番組収録で、「2億パーセントありません」と断言した。
もちろん、この真鍋氏の発言は、07年12月に大阪府知事選への出馬を取りざたされたタレントで弁護士の橋下徹氏(現・大阪市長)が
「2万%でも、何%でもあり得ない」
と完全否定したわずか1週間後に出馬表明したことを念頭に置いている。
「2億%」は、橋下氏の発言に4桁足すという真鍋氏なりのユーモアだとみられる。
もっとも、過去のタレント候補の例を見ると、出馬会見を開くまでは否定し続けるのが「定石」でもある。
他にも、自民党からは経済評論家の三橋貴明氏や、サッカー「なでしこジャパン」の澤穂希さんが出馬するとの観測もある。
荻原健司氏や神取忍氏、大した成果残せず国会去る
有権者にとって重要なのは、当選したタレント議員が国会でどのような活動をしたかだ。
自民党は、04年の参院選アルベールビル・リレハンメルの両五輪で金メダルを獲得したノルディックスキー複合の荻原健司氏やプロレスラーの神取忍氏を擁立し当選させたが、目立った成果を残せないまま10年の改選で国会を去っている。
10年の参院選では、女優として活躍していた三原じゅん子氏が自民党から出馬して当選。自らの闘病経験から、子宮頸がんワクチン接種の無料化や不妊治療への保険適用を訴えていることで知られている。13年夏の出馬する見通しの嶋氏とも親しいことが知られている。
一方、当時与党だった民主党は、柔道金メダリストの谷亮子氏を擁立し、当選させた。谷氏は、いわゆる「小沢ガールズ」の一員として国民の生活が第一→日本未来の党→生活の党と所属を変えており、党では「代表室選挙・団体担当幹事」という肩書きを持っている。