携帯電話業界に幽霊が出る、「ドコモからiPhone発売」という幽霊が――。「出る、出る」と言われ続け、はや数年。2011年ごろから「今度こそ!」という報道が何度もあったにもかかわらず、NTTドコモのiPhoneはいまだに姿を現さない。
今回噂の発生源となったのは、大手新聞ではなく単なる一学生のつぶやきだった。にもかかわらずそれなりの騒動に。「怪談」もついにここまで来たか。
兄がドコモで働いている?
「そういえば、docomoからあいぽーね(※編注:iPhone)でるのは確定みたいね」
「docomoの中の人からの情報なので間違いないと思ふ」
「うちの兄が働いてるのよさ」
こんなつぶやきが2013年4月24日夜、ネットを駆け巡った。過去のツイートから、投稿者は関東の高等専門学校に通う学生と見られる。情報源という「兄」は、上記の投稿からはドコモ勤務とも取れるが、投稿者は2月時点ではドコモではなくNTTコミュニケーションズに兄が務めていることを明かしており、この発売説がどこまで真実に迫っているものかは定かではない。
この発言はまとめブログにも取り上げられ、かなりの話題となった。中には日経新聞などがたびたび「ドコモiPhone発売」の予測を外していることに引っ掛け、
「日経が『関係者によればドコモからiPhone発売』というとネタ扱いされて、学生の一アカウントが『兄によればドコモからiPhone発売』というと本物と信じられてしまう不思議」
と皮肉る人も。もっとも、上記のような根拠の薄弱さから本気にする人はそれほど多くはない。
日経のみならず産経も発売情報
とはいえ、ドコモiPhone発売説は日増しに強まっている。背景にあるのは、続く契約者の流出だ。MNP(番号持ち運び制度)でのドコモの転出超過数は、過去最大となる140万件以上で、契約実績も携帯3社中ワーストに。今なお47%という高いシェアを誇っているものの、ジリ貧の状況は否めない。加藤薫社長は「いつもiPhoneは頭の中にはある」(1月の会見)と、条件次第では発売もありうるとの見解を繰り返し示している。
日経新聞に加え、8日には産経新聞も13年夏の発売説をぶち上げている。ドコモは今のところ沈黙を守っているが、そろそろ幽霊からの「発売宣言」が飛び出すかもしれない。