チェチェン共和国は「悪の根源は米国で探さなければならない」と突き放す
容疑者兄弟のルーツともいえるチェチェン共和国は、露骨に距離を置いている。ラムザン・カディロフ首長は、ソーシャルメディアのインスタグラムに、
「ツァルナエフ容疑者兄弟が有罪ならば、チェチェンと兄弟を結びつけようとするいかなる試みも無駄だ。彼らは米国で育っており、ものの見方や信念は米国で形成されている。悪の根源は米国で探さなければならない。世界全体がテロと戦わなければならず、これは我々が一番よく知っている」
と書き、突き放した。あくまでも米国の国内問題として処理すべきだとの主張だ。
自らが育った国で過激な思想に触れてテロを起こす「ホームグロウン・テロリズム」は、05年にロンドンで起きた連続テロにパキスタン系英国人が関与していたとして問題化したが、各国政府は有効な対策を打てないままだ。
最近の事例としては、日本人を含む多数の犠牲者を出した13年1月のアルジェリア人質事件で、イスラム武装勢力の実行グループにカナダ国籍の男が2人含まれていたことが問題化した。
これらの「ホームグロウン・テロリズム」に対しては、通常の対策では有効な「水際作戦」が使えず、リスクを減らすためには、国内に監視カメラを増やすなどの治安対策強化が有効だとみられる。
4月17日には、米上院が銃購入者全員の犯罪歴調査を義務づける銃規制案を否決し、オバマ大統領が「ワシントンにとって恥ずべき日だ」と強烈に非難したばかり。安全と引き換えに自らの権利を制限することに対する抵抗の激しさが裏付けられたともいえ、米国内での対策は容易ではない。