浸水対策としての防潮堤は設置済み
福島沖でアウターライズ地震、大津波発生となれば当然、今も事故処理が続く東京電力福島第1原発が心配だ。
東電は2012年4月27日付で、福島第1、第2原発におけるアウターライズ地震による津波の対策をまとめている。地震の規模の想定として、M8.4の昭和三陸沖地震より大きかった1611年の慶長三陸沖地震(M8.6)を採用、また福島県沖から茨城県沖にかけて津波が起きうると設定した。これをもとにした数値計算で第1原発の場合、敷地南東部から1~4号機側へ10メートル級の津波が押し寄せて浸水の可能性があるとした。そのため報告書では「仮設防潮堤の設置を検討する」とある。東電広報に確認したところ、すでに防潮堤はつくられており対策は施されているとの説明だった。一方、第2原発には主要建屋設置エリアの浸水はないとの結論が出されている。
万一、想定を上回る津波となった場合も、第1原発では原子炉への注水手段や燃料プールの冷却機能維持の手段を確保するため、非常用電源や消防車両を高台に配備する、などと説明されている。
とはいえ、第1原発では最近燃料ブールの冷却設備が配電盤の故障でストップしたり、地下貯水槽から放射性物質の汚染水が漏れ出したりするなどトラブル続き。水素爆発で吹き飛んだ原子炉建屋は、補強したとはいえ耐震性への懸念が残る。「モーニングバード!」でも長尾氏は、原発事故の直後に米政府が4号機の燃料プールの補強を要求したのは「アウターライズ地震による津波が心配だったから」と明かした。冷却は続けられているが完全防御されているとは言い切れない燃料プールが、再度巨大な津波に見舞われたら本当に耐えきれるのか、不安がぬぐえない面もある。