「死せる三宅久之、生ける細野豪志を走らす」――そんな皮肉がネットで囁かれている。民主党の細野豪志幹事長が2013年4月20日、政治評論家の故・三宅久之氏になりすましたツイッターを本人だと思い込む失態を演じたのだ。
言うまでもないが、三宅氏は12年11月に亡くなっている。ネットに疎いと自認する細野幹事長だが、今回のポカはもはやそれ以前のレベルだ。
亡くなったこと知らなかったの?
問題のやりとりは、国会で審議が進む「一票の格差」是正のための公職選挙法改正案をめぐるつぶやきの中で飛び出した。
自民など与党が進める「0増5減」案に対し、民主党など野党5党は定数削減などを含む選挙制度の抜本改革を優先すべきとして強く反発、特別委員会での審議を拒否した。もっとも「0増5減」案自体には元々民主党も賛成していたため、一部から批判の声も出た。これに対して細野幹事長は19日、ツイッターで以下のように反論した。
「審議拒否しているとの批判がありました。民主党は80減の対案を出しています。与党は、政府の0増5減法案だけを委員会で質疑し、我々の対案をたなざらしにして一切審議しようとしませんでした。そして強硬採決です。これは立法府の自殺行為です」
この細野幹事長のつぶやきに対して物申してきたのが、問題の偽「三宅久之」だ。この偽者は2月から三宅氏の顔写真をアイコンに使い、故人になりきって発言を続けている。この偽三宅先生が細野氏の上記の発言に対し、
「何故それを、政権運営中に行わなかった? だから批判されるのである」
とつぶやいた。
「大御所」の言葉にたちまち細野幹事長はかしこまり、20日夜、
「三宅先生からコメント頂けるとは光栄です。与党時代、定数削減の協議を幹事長間で何度となく行い、民主党から妥協案も提示しています」
と弁明した。しかし、三宅氏はもちろんすでに故人。間もなく他のユーザーからその事実を指摘され、細野幹事長もようやく「大変、失礼致しました」と投稿を消したが後の祭り。
以前にもロボットに「大変ご無沙汰しております」
細野幹事長は自他共に認める「機械音痴」で、以前には経営コンサルタント・大前研一氏の「名言」を自動投稿する「botアカウント」に「大前先生、大変、ご無沙汰しております」とあいさつし、話題になったことがある。
しかし今回は三宅氏ほどの大物が亡くなっていたことをころっと忘れていたわけで、機械音痴とは別次元のお粗末さだ。これには2ちゃんねらーも、
「永井(※編注:故・永田寿康氏の誤り)の偽メール事件から何もまなんどらなんら」
「今年で一番爆笑したwww」
「だがまって欲しい 国会議員の偉い先生がこんなのにひっかかる訳ないじゃないか この細野のツイッターもなりすましなんだよ! そうだよね?」(※編注:本物)
などと、もはや乾いた笑いしか出ない様子だった。