日銀は「資産組み替え」の効果狙う
この生保の独壇場に「量・質ともに異次元の金融緩和を実施する」(黒田東彦総裁)日銀が割って入る。日銀は新たな緩和策によって、買い入れる国債の平均残存期間(償還までの期間)を現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。
これに伴い、これまでのオペレーションでは買っていなかった40年債を含むすべてのゾーンの国債を買い入れ対象とする。「量」でも長めの国債の増やし方が激しく、超長期債市場では従来、日銀は月々の購入額が1000億円程度だったが、8倍の8000億円に増える。日銀としては国債のような安全資産からリスクのある資産や貸出にシフトしてもらい景気を刺激する「ポートフォリオリバランス」(資産組み換え)効果を狙っているのだ。
日銀が超長期債を買いまくることで需給がひきしまり、国債価格は上がるが、逆に利回りは低下する。短期的な売買で利ざやを稼ぐのではなく「超長期保有」が目的の生保としては、想定した利回りが得られないと消費者に約束した予定利率をまかなえず「逆ざや」の懸念が生じる。それで国債以外にシフトすることこそ、日銀の狙いだが「規制があるので株なんか増やせっこない」(大手生保)のが実情。有力なのは先進国の国債だが、図体が大きい生保だけに、自分の動きが利回りを低下させる公算も大きい。このため、「消去法で市場の大きい米国債」(市場関係者)に一定程度シフトすることになると見る向きが多い。