三菱自動車のPHV電池トラブル長期化 生産・出荷再開のメドが立たない

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   三菱自動車期待のエコカー、プラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」が、搭載されたリチウムイオン電池の発熱でピンチになっている。2013年3月末、バッテリーの一部が溶けるなどのトラブルが3件あったと発表して問題が発覚、その後の調査を進めているが、電池製造ラインでの作業ミスが主因ということまでは判明したものの、全容解明には至らず、生産と出荷再開のめどが立たない。

   アウトランダーPHEVは1月の発売以来、売れ行きも好調だっただけに、問題が長期化して業績に大きな影響が出ないか、懸念も出始めている。

製造ラインの作業ミスが原因の一つ

   トラブルは3月21日以降、アウトランダーPHEVの電池不具合が相次いで3件発生したというもの。神奈川県内の販売会社ではフル充電し動かそうとすると、電池が発熱して周りの樹脂が溶けた。ほかにも東京都内や岐阜県内で電池系統のトラブルが確認された。いずれもけが人はなく、大事には至らなかった。

   トラブル発覚後、原因特定を進めていた三菱自動車は4月10日に都内で記者会見し、電池の製造ラインの作業ミスが原因の一つだったことを明かした。電池はGS湯浅系の電池製造会社、リチウムエナジージャパン(滋賀県栗東市)製。作業を再現して調査したところ、従業員が製品検査する機械に電池をセットする際、落とすように取り扱うケースがあった。その衝撃によって「電池内部が変形し、トラブルが起きた蓋然性が高い」との結論を出した。しかし、それでショートして発熱に至ったとまでは確認できず、会見した中尾龍吾常務も「ほかの要因も排除できず、今後も調査を継続する」と説明した。

調査は4月末まで延長

   三菱自動車はその時点で、4月10日をめどに結果まとめ、公表して幕引きを図る考えだった。しかし、10日までに原因を特定できず、調査は4月末まで先延ばしした。トラブルが発覚してから続いている生産と出荷の停止措置も当面継続する。

   環境性能が高いエコカーは国内市場で人気が上昇し、メーカー各社の競争が激化している。三菱自動車も2009年に電気自動車「アイミーブ」を発売したが、販売は低迷している。その中でアウトランダーPHEVは「三菱自動車のエコカー技術の集大成」(幹部)との期待とともに1月に市場に投入したばかり。発売から約2カ月間で販売計画の4000台の2倍の8000台を受注するほどの人気で、7月からは欧州を皮切りに海外市場への投入も予定していた。

   発火原因の調査に手間取っている以上、生産再開のめどは立たず、国内外の販売スケジュールの見直しも必至の情勢だ。社内からは「久々のヒットだっただけに今回のトラブルは非常に残念」というため息も漏れてくる。調査の結果次第ではリコールの可能性も出てくる上、トラブル対応が長引けば「ブランドイメージも損なわれ、業績への影響もゼロとは言えない」(幹部)と、危機感を強めている。

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