「おふざけ」を見て「共産党体制危うし」と伝える日本メディア
中国では民間によるネットアンケートはよく行われ、「人民日報系メディア」でもそれは例外ではない。だが、わざわざ党の評価につながる調査をなぜ実施したのかという疑問が残る。そのうえ、当局にとって都合の悪い結果が出たにもかかわらず、しばらく開示され続けていたのも不明だ。だが、安田氏は「深い考えがあっての行動ではなく、質問サイトを作って放置していたら『炎上』したので消した、という程度の話では。もちろん、民意をはかる観測気球として調査がなされた可能性を完全に否定するものではないが……」と話す。
日常会話で「当局の悪口」を話したところで、取り締まられるわけではない。ネットの書き込みも、多少の内容なら削除程度で「お目こぼし」がある。今回、「8割が共産党1党体制に反対」と意見表明した人を当局がわざわざ探し出して摘発するような可能性は、必ずしも高くないようだ。
そもそも調査に答えたのは3000人を超えるほどで、全人口13億人から見ればごくわずかな割合。しかも回答者は「おふざけ」だった可能性がきわめて高い。こういった背景にもかかわらず「さも『中国国民の民意が現体制にノーを突きつけている。共産党体制は危うい』と判断するのは早計だろう。むしろ、ウェブ上の『祭り』を見てそんな判断を下してしまう日本の大手メディアのネットリテラシーの方が、ずっと『危うい』のでは」と安田氏は指摘した。