消費税分から7000億円を投じる
待機児童解消への政策は一応、立てられている。2012年夏の「社会保障と税の一体改革」で、2015年度から保育の新制度が導入され、親の申請を受けて就労状況などで保育の「必要量」を判定し、これに応じて施設を選ぶことになる。新制度のために消費税増税分から年間7000億円の財源を投じて保育所整備などを進めることになっている。ただし、政府は、待機児童の解消には5年程度必要と見込んでおり、現在から考えると7年後の2020年ごろということになる。
政府の対応をにらみながら、自治体独自の取り組みも注目される。一番の先進例が横浜市。2010年4月に全国自治体でワーストの1500人超の待機児童を抱えていたが、昨年春に179人まで減らし、今春でほぼゼロを達成したのだ。認可、無認可含め3年で1万人以上置保育所定員を増やすとともに、個別のニーズをくみ上げ、最適の対応を親と一緒に考える「保育コンシェルジュ」を区役所に置いた。フルタイムで働くのが前提の保育を、パートのひとにはそれに合ったメニューを考えるといったきめ細かい対応の成果だ。