米国の2州で2012年、嗜好(しこう)品としての大麻の使用合法化をめぐる住民投票が行われ、賛成が反対を上回った。そのひとつ、北西部のワシントン州では2013年12月にも大麻の売買が認められるようになる模様だ。
米CNN電子版は、同州最大の都市シアトルで「マリファナ観光」への期待が高まっていると報じた。J-CASTニュースが現地住民に話を聞いたところ、大麻に対する意見はさまざまだが「ビジネス化」には戸惑いの声も聞かれた。
「今までも大麻が簡単に入手できた」
シアトルは大リーグ、マリナーズの本拠地で観光地や留学先として日本人にも人気が高い。オンライン通販大手のアマゾン・ドット・コムやスターバックスが本社を構え、近郊には世界一の航空機産業ボーイング社の工場やマイクロソフトの本社もある。同地で2012年12月「大麻が合法化された」とのニュースは、日本でも複数のメディアが報じた。
合法化とはいえ、無制限に認められたわけではない。公共の場での使用は禁止。年齢は21歳以上で、1オンス(約28.3グラム)の所持、使用のみが許された。栽培や販売は段階的にルール化されていくという。これまでも米国では18州と首都ワシントンで、医療目的としての大麻使用が認められているが、嗜好品としてはワシントン州とコロラド州が初めてだ。
2013年4月9日付のCNN電子版(日本語)は、この合法化でシアトルを中心にワシントン州で「大麻観光」の熱が高まっていると紹介した。同州が契約したコンサルタントは、大麻販売が解禁されれば州は年間1億8000万ドル(約178億円)の税収を見込めると試算したという。新規事業の機会を逃すまいとシアトルの弁護士に事業モデルの確立など法的相談に訪れる人が増え、大麻カフェの開業から「オーガニック大麻農場ツアー」までいろいろな事業構想が浮上しているそうだ。
地元住民は大麻合法化をどう考えているのか。現地に10年以上住む日本人女性は「反対です」と明言。大麻使用後に車を運転して事故、というニュースは最近でも目にしており、その悪影響や中毒性に懸念を示す。「自分の子にはそうなってほしくない」というのだ。シアトル郊外在住の別の日本人女性は、「今までも大麻が簡単に入手できたので、あまりよい気分はしませんが特に驚きません」。夫は米国人で、「自分は使用しないが、他人が使うのは気にしない」と比較的寛容だ。
ある米国人女性は、自分は使わないと断ったうえで「合法化に賛成票を投じました」と明かす。アルコールやたばこ同様、大麻にも「気持ちを高揚させる効果と、健康を害する影響の両面がある」ことから、同じように扱うべきではないかとの考えからだ。合法となっている酒でも、飲酒運転で悲惨な事故が起きている。それにもかかわらず、大麻の方がアルコールより危険だという見方を押し付けるのは疑問、というわけだ。